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大阪情報サロン

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『都市とは何か?』 Part 2

【大阪は商業都市?の誤解】
◆いろいろの指標の中で、規模の差が都会か田舎かの面もありますが、そこには業種による違いは当然にあります。第一次産品の農業生産高が多いことが誰も都会とは思わないのですが、それを取扱う商社は都市的性格の業種でしょう。同様に工業出荷額が多いことは都市的とはいえないと思っています。

百貨店やスーパーマーケットなどの小売販売額はほぼ人口に比例し、人口規模を反映した数字になるはずですが、これとても、大都市ほど商圏が広いということになります。次にくるのは卸売販売額ですが、昔の大阪はこれが大きかったのです。大阪が商業都市と言われたのは商店が多いからではありません。むしろ他の都市より店も販売額も少なかったのです。
大阪が商業都市というのであれば、正しくは卸売りの都市という意味に解釈すべきです。消費者を相手にしない卸売りは商圏が全国・世界に広がるので無限の可能性があり、ある意味で政府が年貢を取るような搾取の性格がありました。大阪で淀屋などの豪商が発達したのはこのためです。なにせ明治維新政府が天皇の江戸行幸費用10万両を、政府に金がなかったので大阪の豪商に半分負担させたくらいです。

◆それでも、大阪の卸売販売額は次第にシェアを落しました。圧倒的に販売額の大きな総合商社の東京移転が大きいと思います。「伊藤忠」「丸紅」などの総合商社の業種は各種商品卸売業で「卸売り」の分類です。凋落の要因はそれもありますが、世の中の変化が大きいでしょう。メーカー販社などのチャンネルの再編やグローバリゼーション、製品の高度化などにより機能の集約が進んだはずです。小売商業の発達した都市はむしろ東京だったのです。その後、卸売販売額を伸ばした都市は、札幌・仙台・広島・福岡といった地方中核都市だと思います。これがまさに日本の全体構造です。
細長い楕円形の国土の中央に東京・大阪を置き、北と南の遠隔地に大型の札幌・福岡、その中間に中型の仙台と広島があります。うまく配置されている思います。これは国土の二眼レフ構造ですが、大阪からは二眼レフ論があっても、東京はこれが面白くなかったのです。

▼写真は少し古いですが、北浜堺筋にある「大阪証券取引所」
『都市とは何か?』 Part 2_e0161853_12104020.jpg

◆政府は都会的なものは何でも東京に集めたいと思ったようですが、とくに大阪にある繊維などの業界の全国団体を強引に東京に移転させました。一方、大阪証券取引所は株式先物取引で東証より先行して「株先50」で先鞭を付けたのち、本格的な「225種先物」の取引を開始しました。同時にこのとき東証も「TOPIX先物」で先物市場に参入しましたが、大証の225種先物が機関投資家に人気を博し、東証を圧倒しました。
その後、またたく間に大阪証券取引所の先物取引が世界一となり、これには東京の関係者は大阪に対する嫉妬に荒れ狂ったようでした。バブル全盛の1990年頃だったと思います。その後バブル崩壊の株価下落の続くなか東京からは先物悪玉論まで飛び出す始末で、東京方面からの要求からか、政府は取引税率を引上げる措置を採って、大阪は世界一の座から引きずり降ろされたのでした。
それでも大阪証券取引所の225種先物やオプション取引は現在も東京を圧倒しています。
正直、証券市場や金融機能の面では戦後の一極集中政策で東京との格差が開いてしまいました。コンピューターや通信の発達は日本に二つの拠点を不要としました。その中で大阪証券取引所が現在の地位を保っているのは奇跡的です。

※また少し補足します。先日「仏総領事館、京都に移転、大阪からまた一つ流出」を取上げましたが、私は「大阪は痛くも痒くもない」と書いたのですが、これはほとんどの国の領事館は大阪にあるからの意味で、外国公館の所在はけっこう重要です。
京都に移転しても、名前が「在大阪」のままだったら、それこそ私の願望そのもの。それを考えると大阪にあっても、「在大阪・神戸」という国もあるのは神戸は望外のしあわせでしょうね。
もう20年以上前ですが、神戸在住の人と話をしていたら、「神戸の領事館が大阪に流出が続いているのが残念」と言っておられたのが印象に残っています。そのとき私は「自分の街、神戸に自信がないねんな」と感じました。隣りの芝生は汚く見える私がおかしいのでしょうか。
by osaka-salon2 | 2009-04-17 12:20 | 都市論
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