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大阪情報サロン

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『都市と高層ビルの話をしよう:4』

◆前回、オフィスビルは都心指向が強いと書いたが、それ以上に指向性の強い業種にマスコミがある。新聞社、テレビ局などの報道に機動力が必要とされていたり、以前は新聞輸送の多くが大阪駅からの列車に依存していた。貨物ならばJR貨物の梅田駅になるが、新聞の場合は長距離の旅客列車に連結された荷物車で輸送されていたのである。これは大阪駅発着となる。

で、新聞各社は大阪駅から近い場所に立地したというわけ。距離にして朝日新聞大阪本社は中之島で900m。毎日新聞は西梅田で500m。読売新聞は扇町に近い野崎町で1000m程度。産経新聞も以前は西梅田・桜橋のブリーゼタワーの場所にあったが、ブリーゼタワー建設のためJR難波駅南側のルネッサ難波地区に移転した。これで何も支障がないのだろう。だったら産経新聞の行き方が正解になるが、どちらかといえば産経さんは正統派とはいえないようで、アッと驚くような常識破りを簡単にやっちゃう。
まぁ、現代においては格式のうえで一等地に社局をおいてると言った方が正しい。その一等地がどちらかといえば梅田・中之島に近い場所なのである。まず本町より南はあり得ない。(産経さんは例外)

テレビ局はNHK以外を見ると、毎日放送が梅田茶屋町、朝日放送が福島1丁目ほたるまち、関西テレビは扇町、読売テレビは京橋OBPといったところ。これも全般にかなり北寄りになっている。この原則は企業本社を見ても同様であり、一流企業ほど中之島・堂島から淀屋橋あたりであり、本町から心斎橋方面へと南下すると企業規模が小粒になる傾向がある。
こうした大阪の街の構造は大阪人ならばおよそ分かっているのであるが、他の地方の人たちはまったく分かっていない。たとえ大阪に仕事で来ても、あるいは観光で来ることがあってもそれは理解の外である。以前にも書いたが大阪のビジネス街は船場を中心としている。船場は北浜から長堀通りまでであって、したがって長堀通りから難波寄りになるとオフィス街としては極めて弱くなる。
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◆もうひとつ、大阪の街が誤解されるのは、「電車の車窓から都心部がまったく見ることができない」という事実がある。なかでもJR大阪環状線は誤解の最たるものである。とくに大阪-京橋-鶴橋-天王寺の東側は利用客が多くていつも混雑しているのであるが、景観的には最悪の部類になる。都心に触れるのは梅田の一点だけで、あとは都心をかすりもしない。

『都市と高層ビルの話をしよう:4』_e0161853_1372254.jpgとくに森ノ宮-天王寺間は場末感の漂う高架線である。ここから都心の西側の風景はある意味で大阪の不幸ですらある。本来は見えるはずの都心のダイナミックな景観が一切見えないのである。それは大阪城から天王寺に続く上町台地が視界をさえぎっている。
大阪環状線の森ノ宮-寺田町間の高架線から見る大阪市街は延々と低い家並が続く景観である。これは都心部の四つ橋筋・御堂筋・堺筋までが平坦であるが、松屋町筋から東はかなりの上り勾配になる。これが上町台地で、南北に続いているが東西には谷町筋・上町筋あたりが最も高くなり、さらに東に行くと海から遠くなるが逆に低くなっている。古代の河内湖は今も河内低地の下町が東大阪まで延々と続いているのである。つまり大阪環状線と御堂筋方面と間には南北に続く山が立ちはだかって、JRの電車から都心を見ることができないのである。
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それは寺田町から天王寺に至る地形を見るとよく分かる。高架の寺田町駅から300mも行けば地平になり天王寺駅では掘割の地下ホームになってしまう。さらに行くと再び高架の新今宮となるのである。大阪環状線のうち城東線と呼ばれた天王寺-玉造-大阪間の開通は明治年間にさかのぼる。昭和8年には電車化されている。沿線の低層密集地域はおそらく明治から大正時代にかけて形成されたのであろう。『都市と高層ビルの話をしよう:4』_e0161853_1383813.jpg
電車自体は乗客も多く、JR西日本の中で最も稼ぐ優良路線である。よく東京の山手線と比較されるが、そのような事情からかなり性格の違う路線である。山手線の西側は品川・渋谷・新宿・池袋の副都心をつなぎ、一方の品川・新橋・東京・秋葉原・上野・日暮里は都心貫通線である。大阪環状線はどちらかと言えば、JR・私鉄の放射線を結ぶ短絡・乗換え路線になっている。では「大阪環状線はどうあるべきか」それは次回にでも書きたい。

◆写真1:JR環状線オレンジ201系電車 京橋で
写真2:大阪環状線の車窓から見える唯一のビル街、京橋OBP 京橋-大阪城公園間
写真3:京橋に隣接するOBP、ホテルモントレラスールや読売テレビが見える
写真4:京橋OBPに隣接して大阪城ホールがある。イベントがあると人出も多い。
by osaka-salon2 | 2009-02-11 13:31 | エッセイ
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