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大阪情報サロン

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【近鉄奈良線】生駒山中腹「石切」から見る大阪市街

皆様、「大阪情報サロン」久し振りの更新です。
メインのPCは電源が入らずクラッシュ。ちゃんと表示しないサブPCからテスト更新してみます。

大阪と奈良を結ぶ主要道路のひとつ阪奈道路を奈良から大阪に向かうと、生駒の峠を過ぎると道路は急な下りとカーブの連続になる。奈良側が緩やかな丘陵地帯であるのに対して、大阪側は山から一気に平野になって、山を駆け下る感じになる。
その阪奈道路から見る大阪都心は昔から魅力的な光景であった。大阪の超高層ビル建設の歴史を示すように、時代時代によって大阪市街の見え方も変化してきた。阪奈道路は国道ではないが、長く大阪・奈良間の最も重要な道路であった。昭和30年代初頭の開通当時、高速道路などという概念はなくて有料道路であったのだが、現在走ってみても名阪国道によく似た準高速道路のような印象の道路である。中央分離帯四車線の立派な道路で信号はほとんどなくて、他の道路との接続はインターチェンジからに限定されている。

しかし、この立派な道路も第二阪奈有料道路の開通によって阪奈間最重要の使命の座は明渡した。時代の成せる技で、第二阪奈は長いトンネルで生駒の山を直線で貫通している。しかも阪高東大阪線とダイレクトにつながる。大阪奈良の府県境を分ける、生駒信貴の山並みは山頂の標高が642mの峰である。昭和30年代はトンネルという選択肢はなかったとみえて、つづら折れのカーブで山を越えなくてはならなかった。大阪側の急な斜面に四車線の道路をつくるのは無理であったのか、大阪寄りの上下線は別ルートになっている。
大阪と奈良県を結ぶ道路は意外に多い。主要なのを北から順に上げると、国道163号、阪奈道路、第二阪奈、国道25号、国道165号、国道166号、南阪奈、国道309号といった感じになる。鉄道の場合は難波・上本町・天王寺から近鉄の奈良線・大阪線・南大阪線、JR大和路線などがあり、近鉄は奈良県内では京都線・橿原線が南北に走っている。奈良県では近鉄がJRを圧倒した存在である。とくに近鉄奈良線が通勤路線として重要である。

大阪奈良の境には生駒山地が立ちはだかっているにも関わらず、大阪と奈良の関係は密接である。距離にして神戸とほぼ同じ位の30kmであるが、実際には20km弱で生駒に達し、東生駒を過ぎると、すぐに奈良市域の富雄、学園前、あやめ池といった西奈良の住宅地に入る。奈良市民でありながら大阪を向いた住民は奈良府民とも言われる。奈良の旧市街は奈良公園のある東の奥になるが、丘陵の住宅地は大阪寄りに展開するので、距離にして20~25kmといったところである。この状況は阪神間の西宮や芦屋に似ている。西宮や芦屋もまた大阪を向いた住宅地であることに変わりはない。
大阪の業務機能に対して、ベッドタウンの性格は大阪への依存を意味する。奈良の市街を東西に貫通する道路は阪奈道路があり、その延長である大宮通りであるのだが、この道路沿いに奈良県庁や市役所など奈良の中枢がある。不思議なことに奈良の街は京都府との県境までわずかに3kmほどしかない。そこにはクラスター様に京阪奈学研都市が建設されている。近鉄京都線の高の原駅はぎりぎり奈良市なのだが、ほとんど県境といった感じである。平城相楽ニュータウンの中心として早くから開けたのだが、京都府域の精華町にはけいはんなの中核施設が集まりつつある。国費の無駄遣いで話題になった、私の仕事館や国立国会図書館関西館が開館している。京都府との県境が近いことは奈良に微妙な影を落としている。この地区の近鉄の新たな路線は大阪地下鉄中央線との相互乗入れで、けいはんな線が「学研奈良登美が丘」まで伸びているが、学研都市の発展が停滞しているので、先への延伸計画は不確定である。

さて、奈良県内で最も都会的な雰囲気を持つ通勤路線というと、圧倒的に近鉄奈良線になるのだが、この線の難波行きに乗ってみると、生駒駅を出るとすぐさまトンネルに突入する。まさに大和と河内を分ける国境のトンネルである。現在はけいはんな線の開通によって二本のトンネルが並行している。生駒駅は奈良線とけいはんな線の併設駅で、一旦生駒で合流しているわけである。

長い国境のトンネルを抜けると、生駒山の中腹とも思える大阪平野の全貌が見渡せる場所に飛び出すことになるのだが、すぐに石切駅がある。ここから山の中腹を3kmばかり、南に向きを変えて徐々に下ってゆくことになる。石切から額田駅、枚岡駅があって、山を下りきると再び大阪都心方向の真西に向きを変えて、瓢箪山となる。この区間の電車から見る大阪はまことに印象的である。乗りなれた人達さえ、車窓に展開する大阪の遠景に釘付けされてしまうほどである。
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おそらく奈良県在住の人達は東京メディア発信の大阪のイメージなど、微塵も信用していないであろう。自分の瞼に焼き付けるように、誰もが素晴らしい大阪の景色を食い入るように見つめる姿がそこに見られるのである。
# by osaka-salon2 | 2009-07-14 10:54 | 大阪の景観

【明治の森】滝と渓谷の景勝地「箕面国定公園」

◆大阪の山の景勝地といえばダントツに「箕面」です。大阪きっての紅葉の名所とあってシーズンは晩秋と思われがちですが、初夏の箕面もまた良きシーズンです。目にしみ通るような青葉のトンネル、渓流と滝が爽やかです。
梅田から30分あまりでこんな山の景勝地に到着します。大阪の地元の人は誰でもよく知ってる名所ですが、他の地方の方には大都会とのあまりの違いにビックリされるかもしれません。大阪の魅力のひとつだと思います。

昔は箕面公園の滝には、だいたい阪急電車で行ったものです。ですが今回はクルマです。クルマの方が何かと手っ取り早いですから。でも本当の箕面の良さを味わうには電車に乗って、阪急箕面駅から滝道を歩くのをオススメします。駅から滝まで渓流に沿った道を40分程度でしょうか。緑陰の遊歩道をゆっくり歩くのがいいのですよね。
自動車の場合は少し東の豊中亀岡線を走ると、滝の上の駐車場まで10分あまりで着きます。豊野・妙見口方面に抜ける道ですが、勝尾寺にも行くことのできる道です。

▼府道豊中亀岡線の山岳ドライブ
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▼麓から10分あまりで駐車場に到着します
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▲▼つづら折れの道を下って行くと滝が見えてきます
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▼箕面の大滝に着きました。紅葉の名所なので楓が多い、楓の青葉がいいです。
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◆ところで、人によって電車派と車派とふた通りあるようですが、普段から通る場所とか、視点がまったく違うので、かなり意識、認識のズレがあるようです。昔は電車派だった私は20年位前に車も乗ることになって、両刀使いになってわかったのです。車派になってときどき体験するのですが、方向性が逆になる場合があるのですね。
電車で箕面に行く場合は、梅田から阪急宝塚線に乗って、石橋で箕面線に乗換えます。石橋から箕面の終点までは桜井、牧落、三つ目が箕面終点になるのですが、これが車ですと、新御堂筋を北へ向って、千里中央を通り越して、萱野から国道171号線を西に向けて走るか、萱野からさらに北上して箕面有料道路のところで、側道に入って終点を左折して箕面に向うかになるのです。そうすると、箕面、牧落、桜井、石橋のように逆の方向のようになるのですね。電車のときは石橋の先の箕面が遠くだと思ってたのに。車だと「桜井、石橋の方が遠いじゃん」「なんでやねん」となったりします。これはちょっと余談でした。

◆じつは、箕面に行ったもう一つの理由は、豊中亀岡線の滝に向う山岳ドライブコースから大阪都心が見えるからでした。以前に書いたように梅田から箕面の山まで直線距離で15kmです。毎日曇りの日が続いて、遠景は霞んでいる日が多いようですが・・・写真だけは撮影しました。この日も本当はダメでしたね。
この道路はいわば観光道路で、夜景も素晴らしいカップル向きのドライブデート道路なのです。以前は数ヶ所に展望駐車スペースがあったのですが、今回走ってみたら、駐車できないようにフェンスが設置していました。せっかくの楽しい道路なのに、何でこんなことすんの、がっかりしました。大阪は駐車、停車を嫌う傾向があるようです。
▼梅田方面の遠望です。左の超高層は「ザ・千里タワー」
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▼南東方面:千里中央から箕面船場のビル街、遠方に「サンマークス大日」の三本のタワー、うっすらと生駒の山並みが見えます。
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# by osaka-salon2 | 2009-06-28 11:54 | 大阪の自然

【庭園の造形】大仙の庭園 再訪

◆摂津・和泉・河内の三つの国の境目が堺であり、三国ヶ丘と言われる。その少し南に世界最大の前方後円墳「仁徳天皇稜」がある。百舌鳥古墳群の代表的な陵墓であり、宮内庁管轄で内部に立ち入ることはできないが、南側正面の拝殿からの見学はできる。
日本最大の前方後円墳のような言葉を漠然とイメージすると、羽曳野の応神天皇陵とともに何やら古代の河内に王朝政権があったかのようなイメージになるが、そうではない。
いずれも首都としての都は難波(なにわ)である。仁徳天皇の皇居は難波・高津宮(たかつのみや)であり、応神天皇の宮殿は難波大隈宮(おおすみのみや)である。当り前であるが、お墓と宮殿の位置は必ずしも一致しない。どっちにしても宮殿の地、首都は難波ということになる。当然といえば当然なのだが・・・

仁徳天皇稜と御陵通りの道路を挟んで南側が「大仙公園」になる。
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◆庭園鑑賞は6月がシーズンということで、はたまた思い立って大仙の庭園(大仙公園 日本庭園)を再訪してみた。よく整備された日本庭園である。大仙公園の西寄りにあるのだが、公園東側の入口近くには茶室「伸庵」や「堺市立博物館」もあるが、ここからはかなりの距離がある。
庭園は南北に長い敷地に、筑山と池や渓流、滝などをしつらえた本格的な日本庭園である。庭園内の建物は数奇屋風の大きな「休憩舎」の他に、「甘泉殿」「傘亭」「流杯亭」「青苔亭」がある。休憩舎の和室は集会等に借りることもできる。

今回も多くの写真を撮影したのだが・・・載せきれないのと、腕がいまいちなのはご勘弁を。
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★大仙公園日本庭園【庭園概要】パンフレットより
総 面 積●26,000㎡
庭園形式●筑山林泉廻遊式
設   計●大阪芸術大学教授 中根金作
休 憩 所●数奇屋風寝殿造り(建築総面積:376.07㎡ 和室18、8、4畳・土間181.7㎡)
管   理●南海・田中・大阪造園共同企業体(指定管理者)
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※庭園は時間不足で南半分は撮影できませんでした。次回に行く予定にしています。
「仁徳天皇稜」と「大仙の庭園」をセットにしての観光コースはいかがでしょう。
# by osaka-salon2 | 2009-06-21 18:35 | 大阪の公園

【大阪15km圏】神戸・西宮・宝塚、山の手住宅地から

◆梅田スカイビルのような展望台から大阪平野を眺めると、西側には海が光っているが、北と東と南側の三方は山に囲まれた平野なのが分かる。その中央に大阪の都心市街地がある。大都市が成立する条件を見事なまでに備えている。山までの直線距離は概ね15kmである。北側の箕面も東側の生駒も15km行くと山に達する。南側は葛城金剛山から、和歌山寄りは和泉葛城山系となり、かなり南下するので山の稜線は遠く霞んで見える。大阪の市街地が南北に長いことが分かる。中心点を大阪市庁のある中之島として、南に15kmの距離を取ると三国ヶ丘となる。このあたりから南は和泉丘陵となるから、やっぱり15kmで山や丘陵に達することになる。
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では、西側はどうなのか、最初に海が光っていると書いたが、正確には海は西側でも南寄りになる。地図で確認すれば分かるのだが、梅田と神戸の三宮だと、三宮が南にあり緯度が低い、神戸駅だとさらに南で本町あたりの緯度になる。それで西側の15km圏はどこなのか見ると、夙川・甲陽園になり、これは六甲東部の山裾になる。このあたりまでが大阪平野ということになる。北部から西部の扇形地は阪急平野の言い方もあったほど阪急の影響の強い文化圏となっている。つまり中之島中心点からどの方向も15km圏の平野が広がっているのが分かる。これは東京23区の境域にほぼ等しい。東京は千代田区中心点から若干広い16km圏を特別区とした経緯がある。

【大阪15km圏】神戸・西宮・宝塚、山の手住宅地から_e0161853_19421772.gifさて、大阪の地形を語るときに、もう一つの重要なことは河川である。梅田から北側を見ると、1,000mも行くと淀川がある。明治になって新しく造られた放水路だから新淀川と言われていたが、いつの間にかこっちが「淀川」になり、もとの旧淀川は「大川」となった。もう一つは南側にある「大和川」であるが、こちらは古いのだが、淀川と同じような経過を辿っていて、300年前に造られた人工の放水路であることもよく知られる。付け替え以前の大和川は、石川合流点から長瀬川や玉櫛川など、何本もの河川で大阪平野を北流し上町台地の北側で淀川に合流していた。この大和川の付け替え工事が300年前になる。
それよりはるか昔になるが、仁徳天皇の「堀江の掘削工事」とは大和川の治水工事だったようで、以下のような記述がある。
『日本書紀』巻十一の仁徳天皇十一年十月の条に、『宮(高津宮)北の郊原を掘りて、南の水(大和川)引きて西の海(大阪湾)に入る。困りて其の水を号けて堀江という。又、将に北の河のこみを防がんとして、以て茨田堤を築く』とあり、上町台地の北端、現在の大阪城の北側の大川から中之島方面へ通じる水路を掘ったとされ、大和川の排水を促す工事としては最初のものであり、淀川左岸の築堤とともに日本で初めての大規模治水工事と考えられている。

長々と書いているのは、何が言いたいのか。大阪の歴史は無茶苦茶に古いだけではない。よく上町台地が半島のように突き出していて河内低地は河内湖であった。もっと古くは『生駒の山裾まで河内湾の海だった』というのだが、これには時代認識があまり正確に検証されていない気がする。大和川付け替え工事のサイトを見ると、仁徳天皇の難波高津宮の時代に当る1700年前は河内湖になっているのだが、私はもっとはるか昔に大阪平野は陸地になって、河内湖はなくなっていたのではないかと思えるのである。確かに森之宮の東には「深江橋」や「深江」の地名もあり、それは海であったことを物語っているのであるが、それは少なくとも何千年前であって、千年や二千年前ではないと考えているのである。これは私自身の今後の課題である。

◆さて、大阪15km圏の住宅地に話は戻る。帝塚山など近辺の住宅適地が埋まると、大阪船場の資産家向け住宅地は早くから郊外に目が向けられた。明治から大正にかけて、同じ大阪15km圏でも武庫川西部の兵庫県の山側が最も早くから開けたようである。
神戸東灘区や芦屋六麓荘から苦楽園、甲陽園、宝塚にかけての高台の住宅地に行ってみると、非常に眺望が良好なのが分かる。阪神間の市街地と大阪湾を望み、遠くに梅田中之島の超高層ビルが林立しているのもはっきりと見える。
これを見ると「やっぱり大阪は凄い」という気になる。百聞は一見に如かずの通り、朝な夕なに見る視覚効果は絶大だと思う。仕事でこのあたりもずいぶん行ったことがあるのだが、神戸東灘区の御影山手や甲陽園、宝塚の逆瀬川や松風台、はては川西寄りの雲雀丘花屋敷にも行った記憶があった。

▼雲雀丘花屋敷から梅田方面の眺望
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それで先日、雲雀丘花屋敷に行ってみる気になった。地図で確認すると伊丹空港から、その延長上に梅田が見える位置になる。JR川西池田駅からも行けるが阪急雲雀丘花屋敷駅からも登ることができる。住宅地はビックリするような急な傾斜地になっている。ここも阪神間に劣らず高級住宅地のようであるが、あまりに坂道が急で足腰が弱くなっては住み辛い。気を付けないと車がバックしそう。小さな公園の横から見晴らしの効く場所を確認して車を止めた。雲雀丘花屋敷から梅田までは17km余りの距離になる。
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標高は150~200mあたりだろうか。梅田方面を目視してみると、やはり思った通りの風景が広がっていた。伊丹空港の向こうに高層ビルが林立しているのが見える。東を見ると五月山近くの阪神高速の斜張橋の美しい姿も望めた。
# by osaka-salon2 | 2009-06-19 19:50 | 都市論

上町の美学を求めて【四天王寺って、やっぱりすごい】

湯屋方丈の廊下に腰を下ろして庭園を眺める。訪れる人も少ない。何という美しい庭園だろう。
木々の緑と枯山水は美しく手入れされている・・・
「こんな静寂に包まれた庭園が大阪にあったのか~」・・・大阪の魅力を発見したような気分になってうれしくなった。

◆四天王寺の称号といえば「聖徳太子建立の日本最古の官寺」あるいは「日本仏法最初の大寺」ということになる。じっさい建立は法隆寺よりも古いのだが、私がこれまで聞くうわさとしては「伽藍はコンクリートだし、味もそっけもない」という意見がほとんどだった。
何だか「悔しいし、本当だろうか」というモヤモヤした気持ちは長く昔からあった。たびたび参拝に行くわけでもないが、時々気が向けば一心寺とは別に四天王寺も拝観には行ったものである。中心伽藍を見ながら、六時堂参拝、亀の池を見て休憩所に立ち寄って帰ることになる。
中心伽藍は何度も焼失し、今のは戦後再建されたコンクリート造だが、これが痛い。造形はともかく質感が伝わってこない感じはあった。境内もしっとりした美に欠けるきらいはあるかもしれない。
結局、信仰のお参りは非常に多いのだが、観光で来る人が少ないことになる。観光とは美を見るのが本来の姿である。
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いまは梅雨入りの6月である。このところ2週間位前から雨か曇りの日が続いている。あんまり暑くないのがよい。どこか日本庭園に出かけてみる気になった。私は庭園鑑賞の好適シーズンは6月だと思っている。普段は庭に関心のない私が、自宅の庭を飽かずに眺めるのも決まって6月だ。新緑から2ヶ月あまり、木々の葉は十分に茂りながらも、活力に満ちた緑が風にそよぐ季節・・・

雨に濡れてしっとりした緑もいい。岩を流れる水を眺めたり、樹木の葉の水滴を飽かずに眺めたのも6月だった。庭園鑑賞は晴れて良し、曇って良し、雨でも良しと思っている。
私はどちらかといえば、庭園好きである。究極の日本庭園好き。しかも大阪の庭園専門だから大阪の日本庭園は行きつくしている。天王寺慶沢園、千里万博公園も大仙公園も。しかし待てよ、四天王寺「本坊庭園」はいつも気になりながら、行ってないことに気付いた。「よし、今日は四天王寺本坊庭園に行ってみよう」決まりである。
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本坊庭園を見て驚いた。なんと、素晴らしい庭園である。
もしかして期待を裏切るのではないか。そう疑う心もどこかにあった。その疑いは見事にこっぱ微塵に砕かれた。同時に今まで行ってなかったのを恥じた。本坊や客殿もじつに堂々と立派。重要文化財の「五智光院」「湯屋方丈」も素晴らしい。どちらも400年前の建築だから、四天王寺建立の古さにははるかに及ばないが、どうしてどうして、すごい庭園美、建築美である。
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そうか~、「大阪のすごい物はいつも影に隠れているということか」・・・
じっさい目立ちにくいのもあるのと、四天王寺の規模が大きくて、境内を歩くだけで疲れてしまう。それでざっと見て帰ってしまうようだ。これでわかった。「四天王寺は味もそっけもない」などというのは「本坊庭園」を誰も見ていないのである。本坊庭園を知っていれば、そんな感想が出るはずはない・・・。
とんだ灯台下暗し、これは絶対におすすめの第一級の観光名所だ。それだけの価値十分と言っておこう。
※写真は沢山撮影してきたが、容量が大きくて載せきれない。興味のある方は「大阪情報サロン掲示板」(いちばん左)にアップしているのでご覧いただければと思う。
本坊庭園の写真一枚
では、なぜ庭園を見たくなったのか、先日「梅田北ヤード二期」に関しての報道があり、高層ビルでない方がいいだのと、またまた公園論が沸いてきたようなのだ。
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それで何かヒントになるのではないか、そう思っての庭園鑑賞だったわけである。結論は高層ビル林立が前提ながら、いちばん奥を高層高級ホテルにして、その前庭とロビーの奥は小さくても日本庭園としたい。あとは街路樹と公開緑地で十分だと思うけど。いかがだろう。
正直いえば、以前から言ってるように私は北ヤードに公園は反対である。公園だけでなく高層マンションも反対である。梅田も少し離れるとマンションもあるのだが、正味の駅北口だからオフィスビルの聖地にしてほしかった。余計なことは考えず高層ビルを立てまくってほしい。ここにきて大阪市長がこうした発言をするのは、何かおかしい。裏があるのではないか。経済同友会はじめ関経連の下妻会長もいつのころからか公園に転換したようだし。心配になってくるよね。政治的なへんな匂い。大阪をしょぼくしたい得たいの知れない勢力とつながってなければいいのですが・・・。
※拝観料「本坊庭園」、大人300円。中心伽藍300円、宝物館が200円、以上が有料拝観でその他は無料
# by osaka-salon2 | 2009-06-13 13:19 | 史跡探訪